ミケの足尾レポート・バックナンバー 9
2002/10/07
古峰ヶ原〜横根山

古峰ヶ原・巴の宿から林道を粕尾峠方面に向かって少し行くと、足尾町から登って来る修験行者の道が右に分かれています。(車通行不可)その昔は古峰神社への参道として華やかな時代がありましたが今はひっそりと、私もまだ歩いたことはありません。この古峰ヶ原で、むかし横根山に住んでいたというおばあちゃんにお逢いしました。
息子さんご夫婦と3人で見えられていて、息子さんといっても私と同じ中年の方ですが「近くこの辺に新しく道を通す計画があり、自分の持ち山があるので見に来たんです。それからおふくろが昔住んでいた住居の跡をみせておいてやろうと思ってね。」ここの住人だったということはかって横根山の開拓に入られた人々の事です。「どの辺なんですか。」「巴の宿から下って、足尾に行く道を少し行ったあたりです。」「お家の跡は判りましたか。」「はい、まだ土台が残っていてすぐに判りました。閉山前に山を降りましたから...44,45年頃だったか。おふくろももう80歳半ばですからー。」「そうですか、横根山で暮らしておられたんですね.....お母様お元気ですね。」
山の中のあちこちに廃屋があるという話は山歩きの方のHPで見たことがありますので、車道から入ったところにはまだ残っている家もあるのでしょう。 横根山小学校の跡は今年になって発見したのですが、ほかには牧場などもあったようです。小学校跡とは別に車道沿いの、今は湿地帯ですが家の廃材が落ちている場所があります。足尾町内からだと車で来ても山越え谷越えの遠い山道ですから、当時の方達が歩いておられたのだと思うとそれだけでも苦労がしのばれるというものです。
それからコンロでお湯を沸かしてお茶をごちそうしてくださいました。
この日は古峰神社から上る途中で山側から落ちてきた石で私の車のタイヤがパンクしたのですが、本当に運がいいというのはこういう事なのでしょう。宇都宮から来られた青年が快くスペアタイヤと交換してくださったのです。ほんとうに助かりました。ありがとうございました。一緒にお茶をいただきながら話がはずみました。これ以上はない晴天の穏やかな日、見事な紅葉をこころゆくまで眺めた秋の一日でした。
     (以上は昨年、2001年10月20日のできごとでした)

写真はバックナンバー073,075,095,096,121など)




2002/09/28
車両進入禁止後の松木村跡

松木渓谷入り口、つまり足尾ダムのところにゲートが設置されてしまい、車で
の進入ができなくなったのはこの8月9日のことでした。9月末になって、
ようやく歩いてみる気になり、少し雨模様の日でしたが行ってきました。
歩くと遠いような気がしていたのですがたいしたこともなく、上の墓地まで約
1時間というところです。車で入っていた時とは比べ物にならないほどの当時
の遺物が目につきます。道端に錆びたものが積んであったりしますが、これは
今、業者が入って治山のために働いていますので機械を設置したり、プレハブ
を建てたりした時に土中から出てきたものでしょう。
下の墓地は工事の隙間に入ったような感じで見過ごしそうになりますが、川が
増水したら危ない場所に並んでいます。村跡に入ってすぐ右手のカラミの捨て
場にはエスパーキャリアシステムとやら260mものモノレールが架かってい
て、これが冬季オリンピックの時の白馬のラージヒルジャンプ台よりも大規模
なものだとか。これが稼動している平日はその騒音がこの場所にはふさわしく
ないと思うのでここには来たくない気分です。
ゆっくり歩きながら見渡すと谷あいに広く日当たりのいい場所が続き、いかに
も村らしい穏やかな場所です。そこに残っている石造りの屋敷稲荷はなぜか以
前に比べて黒ずんでいます。その場所から上の墓地までの間は、川の対岸に岩
山が続いていますが、全くの剥き出しの岩ばかりではなく小さな木も見えて、
すでに紅葉が始まっていました。岩山から流れ落ちる水の音も聞こえそうな静
けさです。工事の休みの日に限ってだけは、ゲートで閉められる以前と同じよ
うに四季それぞれにまたいいのではないかと思います。 



2002/09/14
松木渓谷への車両侵入禁止令など。

これまでは、工事関係車の進行を妨げない限りは自由に進入が許されておりまし
たので、道の状態さえよければ上の墓地まで入る事ができました。上の墓地にも
ゲートはあったのですがそれより上流に入って行く事も可能で、渓流釣りの方や
沢登りに挑戦される方にとっては、かなりアプローチが短縮されて恩恵に預かっ
ておりました。ところが今回の車両進入禁止命令です。足尾ダムにカギ付のゲー
トが設置されてしまい、徒歩でしか入れなくなりました。開放されたままでは都
合の悪い事もいろいろあったようなのですが、大変に残念なことです。私も今ま
でに何回か車で入って楽をしていましたが、歩くとなると荷物も自分で持たねば
ならず奥までいくのには時間もかかります。ゲートが閉められてすぐに行ってみ
たのですが宣伝になったのか歩いている方がいつもより多いようで以外でした。

話は変わりますが、今夏、備前楯山の登山口である舟石駐車場の山の木を伐採中
であたりの景色がかなり変わってしまいました。一瞬山が崩れたのかと思うほど
で、丁度来られた仕事の関係者と思われる方が「木を切って植林をするのです。
スギやヒノキよりブナやナラのほうがチップにして建材にするので都合がいいの
です。山というのはこの繰り返しなんですよね。」
山には小型の索道が架かっていて原動機もデンと居座っています。思わぬところ
で本物の鉄索にお目にかかりました。木を切られた山は土が剥き出しで一瞬ドキ
ッとしました。こちら側の斜面にはにヤシオツツジもあったと思うと残念です。
でも足尾町の土地も山も個人(古河)の所有するところがほとんどですから、こ
れも仕方のないことかもしれません。
ついでですが、去年あたりから足尾銅山観光のある通洞の社宅が全部取り払われ
て跡地には近代的な住宅が並んでいます。ここが足尾町だとは思えないほどで、
赤く塗りなおされた通洞大橋から見る景色も一変して、以前見られた社宅が並ぶ
景色も過去になってしまいました。

松木渓谷車両侵入禁止についてはhttp://www5.ocn.ne.jp/~ashionet/Hoshino/syohko/020802/syohko.htm
をご覧下さい。足尾町商工会のHPからの情報です。